◆ 足柄上郡のゼロエネルギー住宅 / life+(ライフプラス) 

田園風景に囲まれた区画整理地に建つ大屋根のゼロエネルギー住宅。
贅沢な仕上げ材は極力使用せず 所々に施主によるDIYも行ったローコスト住宅の一面と
「長期優良住宅」「BELS認定」も取得しZEH支援事業の対象物でもある 高性能仕様住宅でもあります。
life+(ライフプラス)とは、SDGS(持続可能な開発目標)の実現を目指し、
未来の新しい住まい(暮らし方)を提案するものです。

建築地:神奈川県足柄上郡大井町(2020.8竣工) 構造:木造在来工法  建築面積:113.73u 延床面積:145.53u 

着工時には区画整理地内には他に建物はありませんでしたが、
竣工時にはハウスメーカーの建物が何棟か完成していました。
ハウスメーカーの画一的なデザインの住宅の中で 広い敷地にゆったりと建つ大屋根が際立ちます。

玄関ポーチ庇は軒天を張らずに母屋・垂木表しとし、
土間もタイルは貼らずに洗い出しとしてローコスト化を図っています。

この住宅は大屋根に乗せた28枚(システム容量6.27KW)のシャープ製太陽光電池によって 発電される電力により、計算上この住宅で使用されるすべてのエネルギーを
賄うことが出来るゼロ・エネルギー住宅(ZEH)です。
屋根面積が広いので、もっと多くの太陽光電池が設置可能でしたが、
極力予算を抑えるために 「年間一次エネルギー消費量削減率」がZEH基準の
100%をギリギリでクリアーするように何度も計算を繰り返して調整しました。

並立面の基本プランは、一級建築士である施主のスケッチを元に作成しています。
2階部分のイメージは蔵。 白い壁は漆喰。黒い壁は板張りにしたいところでしたが、ローコスト+高性能が今回の計画の最大のテーマなので 断念。
外壁はアイジー工業の金属サイディング(ガルステージ)を採用しました。。
ガルステージは断熱サイディングといわれるものですが、通気工法を採用しているので、 外皮性能の計算にはカウント出来ませんが少なからず断熱性能に貢献しているはずです。
カウントできる外壁部の断熱材は、柱間に厚さ100m/mの高性能グラスウールによる充填断熱。
床下の断熱は基礎の立上り部の外側30m/m、 内側に50m/mのパフォームガード断熱材を打込む基礎断熱を採用しています。
屋根・天井部に使用した断熱材は、厚さ100m/mの高性能グラスウールに
89m/mの高性能グラスウールをプラスして敷き込んでいます。
ゼロエネルギー住宅(ZEH)とは「屋根や外壁や床下」(外皮)部分の断熱材に高性能の物を使用し 開口部にも高断熱サッシを用いることで、基準となる住宅よりも高い断熱性能で エネルギーロスを極力減らし、
加えてエアコンや給湯器などの設備機器にも省エネ性能の高いものを 設置してエネルギーの使用量を抑えたうえで
使用するエネルギーすべてを再生可能エネルギーである 太陽光電池によって発電した電力で賄うことが出来る住宅です。

焼杉板を使用した目隠し板塀。
左側はリビングルーム前の目隠しルーバーです。
玄関ポーチ庇の小屋組の木部表し仕上げと相まって和風のイメージを醸し出しています。

玄関扉を開けると正面の開口部から中庭の様子がうかがえます。

ダイニングスペースからキッチン・リビングスペースを見る。

ダイニングスペース
LDKの勾配天井は最高部の高さは3.7m、OSBにクリア塗装を施し、
小屋組と束を表し仕上げとし、床は竹縦積層フローリング(イントリプル)を採用しています。

ダイニングより対面カウンター越しにキッチンを見る
吊戸棚の上部にはOSBの勾配天井を照らす間接照明を、吊戸棚の下部にも 間接照明が設置されています。
右上に見えるシルバーの金属板は電線ラックを転用したホームシアター用のプロジェクター置き場です。

システムキッチンと食器棚+吊戸棚はサンワカンパニー製。
奥にパントリーが見えます。

システムキッチン越しにリビングスペースを見る。

施主が拘り抜いたリビングルームのホームシアター。
正面壁はウエスタンレッドシダー羽目板乱張り。 天井のOSBは、吸音効果を期待して部分的に有孔板としています。

リビングスペースからダイニング・キッチンスペースを見る。

左に見える丸窓付き引戸をあけると和室です。
引戸の上部のつけ庇も施主こだわりの一品です。

天井はシナ合板目透かし市松張りの上クリアー塗装仕上げ。
シンプルなデザインの仕上げとしています。

和室前の廊下(縁側)から中庭を見る。

主寝室。
天井は2階床組と構造用合板をそのまま表しています。
丁寧な施工だからこそ可能な仕上げです。

予備室1
勾配天井の高い部分は2階の予備室につながっていてボルダリングウォールを登れば 上がることが出来ます。
白い壁は施主の遊び心で採用した木毛セメント版。
白くローラーペイントしてみると予想外に面白い仕上がりになりました。

予備室2
2階唯一の居室です。
床のタイルカーペットは施主のDIY。化粧梁にはハンモック用の吊り金物も設置しています。

洗面化粧台・収納棚もオリジナルデザイン。



文中で紹介している外壁や屋根や基礎部の断熱の他  開口部には高性能ハイブリット窓・サーモスU-Hにプラスして、 トイレや洗面所等の小窓以外の窓にはインプラスか内障子を設置して断熱性能を増すことにより、
外皮平均熱貫流率UA値は「省エネ基準値-0.87」「ZEH基準値-0.6」に対し「設計値-0.43」を達成。
冷房期の平均日射取得率nAC値は「省エネ基準値-3.0」に対し「設計値-1.4」を 達成しています。

電気設備機器は省エネ性能の高いものを採用しています。
照明器具はすべてLED。給湯器とエアコンも高性能の物を採用し、
浴槽は高断熱浴槽、節湯水栓製品を採用しています。

再生可能エネルギーを除いた設計一次エネルギー消費量の基準一次エネルギー消費量からの 削減率 24%削減
再生可能エネルギーを加えた設計一次エネルギー消費量の基準一次エネルギー消費量からの 削減率 102%削減
出来ており ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)の基準を達成しています。




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